遺産が不動産しかない場合の遺産分割の方法

相続財産が不動産しかない場合の遺産分割には、「代償分割」「換価分割」「法定分割」といった方法があります。

以下、それぞれの方法について述べます。

代償分割は、誰かが不動産を取得し、他の相続人に対し金銭（代償金）を支払う方法です。

例えば、相続財産である不動産に、相続人のうちの誰かが住んでいるような場合に、代償分割という方法を選択することが考えられます。

相続財産の不動産に住んでいる相続人は、その不動産を取得することによって、そのまま住み続けることができます。

他の相続人は、不動産を取得しない代わりに、金銭（代償金）の支払を受けることができます。

この方法をとる場合の問題点は、不動産を取得したい人が、そのような代償金を支払うだけの金銭を用意できるかどうかです。

また、いくらか払うにしても、その金額が低いと、他の相続人の納得が得られないことがあります。

不動産の評価について決着がつかない場合には、最終的に裁判所で不動産の鑑定をすることもあります。

換価分割は、不動産を売却して金銭を分ける方法です。

相続財産である不動産が空き家の場合や、不動産の評価について相続人同士でもめているような場合には、不動産を換価し、売却代金を相続分割合で分配するという、換価分割の方法を選択することがあります。

この方法だと、相続人間で公平に金銭を受け取ることができるのがメリットですが、相続した財産を現物で残すことができないというデメリットがあります。

代償分割や換価分割の方法がとれない場合に、法定相続分で不動産を分け合うという方法をとることもあります。

たとえば、父が亡くなり、母と子の２人が法定相続分で不動産を共有取得するというような場合です。

この場合、持ち分としては公平です。

そのため、円満に相続人全員が同居しているのであればとりやすい方法かと思います。

しかし、持ち分だけあっても不動産を利用できないケースであれば、その相続人にとってはメリットがなく、不満が生じる原因にもなります。

共有の場合、権利関係が複雑になるというデメリットもあります。