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公正証書遺言を作成する際の流れ

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2024年5月17日

1 遺言書の内容を決める

遺言書を作成しようと思ったとき、公証人に遺言書を作成してもらうことができます。

このようにして作成する遺言書を公正証書遺言といいます。

公正証書遺言を作成するには、まず遺言書の内容を決める必要があります。

公証人に、作成したい遺言書の内容を伝えたうえで、作成を依頼することになります。

公証人に作成を依頼すれば、法律上の要件を具備した遺言書を作成してもらうことはできるでしょう。

しかし、公証人は、基本的には、遺言者から伝えられた内容をそのまま遺言書の内容とするだけで、そのような遺言書の内容が、遺言者にとって本当に望ましいものなのかどうかという相談には乗ってくれません

遺言書の内容を決めるときには、遺留分について配慮されたものなのかどうか、相続人の方が先に亡くなってしまうなどの万が一の事態にも備えたものになっているのかどうか、相続税のことも考慮されているのかどうかなどを考える必要があります。

公証人も、一般な相談には応じてくれるとは思いますが、基本的には、こういった個別具体的な相談には応じてくれません。

そのため、遺言書の内容を決める場合には、弁護士や税理士などの専門家に相談したうえで、進めることが重要になります

特に、相続について詳しく、法務や税務についても詳しい専門家に作成を依頼するのがよいでしょう。

2 作成場所を決める

公証役場で作成するのであれば、全国どこの公証役場で作成するのでも構いません。

自宅から近い公証役場でもよいですし、職場に近いところや、作成を依頼する専門家の事務所から近いところでもよいです。

ただ、遺言者によっては、病気やけがなどで、公証役場に行くことが難しいという場合もあるでしょう。

そのような場合には、公証人に出張を依頼することができますので、最も出張先に近い公証役場に所属する公証人に出張をお願いしましょう。

3 証人を決める

公正証書遺言を作成する場合には、作成に立ち会う証人が2人以上必要です。

この証人は、遺言者と利害関係のない第三者である必要があるため、相続人である子どもや配偶者は証人になることができません。

専門家に作成を依頼した場合には、その専門家や事務員が証人になることが通例です。

証人となってもらう人を見つけられない場合には、公証役場に依頼をすれば、謝礼を支払って、候補者を紹介してもらうことができます。

4 必要書類を提供する

公正証書遺言の作成の前に、公証役場に必要な書類を提供しなければなりません

遺言者が本人であることを証明する書類として、印鑑登録証明書を提供します。

これと、作成当日に実印を持参したことによって、本人であることを確認します。

印鑑登録証明書には、顔写真が付いていませんので、本人確認のために、運転免許証やマイナンバーカードなどの証明書が利用されることがあります。

本人確認のための資料については、各公証人によって考え方が異なるようです。

遺言書に相続人が出てくる場合には、その相続人との関係が分かる資料を提供する必要もあります。

たとえば、「長男に相続させる」という内容であった場合には、遺言者本人と長男の戸籍を提供することで、両者が親子であり、相続人であることを裏付ける必要があります。

財産の内容を裏付ける資料を提供する必要もあります。

たとえば、相続させる遺産の内容として不動産を表示する場合には、不動産の登記情報などの資料を提供する必要があります。

財産の額に関する資料を提供する必要もあります。

というのも、公正証書遺言を作成するための費用は、遺言書に記載される財産の額によって異なりますので、これを確認するための資料を提供する必要があります。

これら以外にも、遺言書の内容によって、必要な書類が変わってきます。

このような資料は、弁護士などの専門家に依頼をすればその一部を揃えてもらうこともできます。

5 遺言書を作成する

公証人に遺言書の内容を伝え、必要な書類を提供すると、遺言書の案文を作成してもらえます

内容に問題がなければ、その内容で遺言書を作成することになります。

作成の際には、公証人から遺言者に遺言の内容についての質問がされ、本人の意思に基づく内容として問題ないという口頭での確認がとれれば、公証人が遺言書の内容をすべて読み上げて確認します。

遺言者、証人が、署名と押印をして、遺言書が完成します。

遺言書の原本は公証役場で保管され、遺言者には、通常、正本と謄本が交付されます。

遺言者が亡くなって、相続手続きをする場合には、原本ではなく、この正本や謄本を使って手続きをすることになりますので、大切に保管しましょう。

正本や謄本が紛失や滅失してしまった場合には、原本をもとに、再度、公証役場で発行してもらうことができます。

最近は、公証役場で保管されている原本が、災害などで滅失してしまう場合に備えて、データでも保管されるようになっています。

6 書き直しをしたい場合

遺言書を作成した際と、相続人の状況や財産の内容が大きく変わった場合には、遺言書を書き直す必要が生じてしまう場合があります

なるべく、こういった事情の変化にも対応できるような遺言書の内容にしておくべきではありますが、遺言者本人の相続に関する考えが変わるということもあるでしょう。

そういった場合には、遺言書を書き直す必要があります。

遺言書を書き直す際には、必ずしも公正証書遺言で書き直すことが必要になるわけではありません。

法的には、公正証書でも、自筆でも、遺言書の効力に違いがあるわけではないからです。

他方、厳格な手続きを経て作成された公正証書遺言と異なる内容の自筆の遺言書がでてきた場合には、自筆の遺言書の効力が争われやすくなってしまうという懸念があります。

よって、自筆の遺言書で書き直すことに合理的な理由があり、遺言者の遺言能力に問題がないことが明らかであり、遺言者自身が自書をしたことのしっかりとした証拠を残すなどの手当てをしておかない限り、相続でのトラブルを避けるためには、公正証書遺言で書き直しておいた方が望ましいでしょう。

もちろん、遺言書を書き直す際には、書き直す時点でも、遺言者に遺言作成の意思能力があることが前提になりますし、内容が異なるものとなった理由について、遺言書の付言として記載しておくことが重要だと考えられます。

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